看護師1〜3年目 辞めたい|入職後1年以内の離職率について

毎年、新人看護師が約5万人誕生し、同時に約2.5万人が看護師を辞めています。

10人増えたら5人減る状態で、潜在看護師の人数は現在71万人以上(厚生労働省)とされています。

これ以上、潜在看護師が増えない事が望ましいですが、「看護師を辞めないで」とは簡単に言えないのが現状です。

 

看護師の早期退職や、新人看護師が辞めるまでの悩み・葛藤をテーマに記事にしました。

もし、看護師を辞めたいと悩んでいる人は、最後まで読んでもらえると嬉しいです!

 

 

入職後1年以内の離職率について

多くの1年目社会人が、入職後すぐに退職を考えており、

実際に13.4%の人が、社会人1年目で仕事を辞めているという統計データがあります。

2年目以内では 10.1%、3年目以内では 8.8% となっています

 

新人看護師もほぼ同様

近年の新卒看護師の離職率は低下傾向とされてますが、1年未満で辞めていく新人は少なくありません。

新卒看護師の1年目以内の離職率は7.9%です。

100人の新人看護師のうち、8人が1年未満で看護師を辞めています。

 

看護師の「辞めたい」実態

全国の看護職員(33402名)を対象に行った「労働と健康実態」に関する調査では、看護師の約7割が仕事を辞めたいと思いながら働いている実態が浮き彫りになりました。(日本医療労働組合連合会)

 

その他にも、「慢性疲労」「健康不安」の訴えが7割を超えており、「強いストレスや悩み」を抱えているとした看護師が6割にものぼります。

 

多くの看護師が、 辞めたい と思っている背景には、

休憩時間も取れず時間外労働(サービス残業)を行っているなど、

「働く現場の劣悪さ」

があります。

 

 

新人看護師の「辞めたい」

  • 看護師の責任のおもさ
  • 忙しさや、残業の多さ
  • 看護技術不足
  • 消極的な職業選択という背景
  • 仕事・業務上の失敗(インシデントなど)
  • 人間関係の悩み
  • 看護業務に関するストレス
  • リアリティショック

看護師を辞めたいと思う主な理由として、上記の項目が挙げられています。

 

 

新人看護師の「辞めたい」から早期離職までの心の動き

辞めたいという気持ちが芽生え、早期退職までの心の動きをステージに分けてみました。

もし、看護師を辞めたいと思っているとしたら、あなたはどのステージにありますか?

 

ステージ1
「辞めたい」という気持ちの芽生え

入職当初、多くの新人看護師は、描いていた理想とは違う「看護業界のリアルに対する戸惑い」と、「現場で、どのように動けば良いのかわからない状態」にあります。

新人なので、戸惑うのは当たり前です。

 

技術も知識も、まだまだ未熟なので、一つ一つに時間がかかり、結果残業も増えがちとなります。

 

しかし現場では、そんな事をお構いなしと言わんばかりに、

一人の看護師としての自立を求められます。

 

想像していた看護業界とは違う現状を目の当たりにして、自分なりの「看護師とは?」という模索がはじまります。

まだ、自分なりの「看護師像」を作れていない状況のなかで、

 

技術不足、知識不足からくるミスや、仕事の遅れなどによって、

  • できない失望感
  • 自信の喪失
  • 自己への失望

などを体感します。

また、何らかのトラブル等に巻き込まれると、「看護師向いていないかも、、、」や「看護師を辞めたい」というネガティブな感情が芽生はじめます。

 

 

ステージ2
「辞めるべきだ」という確信に

まだ、この段階の状況では、

「なんとか心の調整をしながら、辞めたい気持ちを抑えようとする人」

がほとんどです。

 

このステージにいる間に、さらなる自信喪失を味わう事なく、1年くらいを過ごす事ができた看護師は、この危機的期間をなんとか乗り越える事ができます。
(人によっては、3年ほど続きます。)

 

しかし、

  • 仕事の失敗・ミス
  • インシデント
  • 患者の死
  • 患者や患者家族とのトラブル
  • モラハラ
  • パワハラ

などが起きてしまうと、「辞めたい」という気持ちはいっきに強まります。

多くの場合、新人看護師個人の問題ではなく、先輩看護師や同期のフォロー、そして相談にしやすい職場環境作りなどが欠如している事が要因です。

 

特に、仕事の失敗やインシデントを起こした新人看護師は、自己価値・自己効力感が大きくゆらいでしまい、

何のフォローもない状況では、「辞めたい」が「辞めるべき」という確信に変わります。

 

 

ステージ3
「看護師に向いていない」がピーク

看護師としての自己のあり方を自問自答しはじめます。

 

例えば、

「私は、看護師に向いていないんじゃないか?」

「私は、看護師をやる資格がないんじゃないか?」

 

この状態になっている新人看護師はすでに、心身の崩壊状態になっているとも言えます。

この時期までに、何らかの適切なサポートができなけば、看護師を辞めていく確率がいっきに高まります。

 

 

職場の相談しやすい雰囲気作り・人間関係が大切

感後業務のミスや、ちょっと失敗を繰り返してしまった時に、

  • 周りに迷惑ばかりかけている。
  • 同期は成長しているのに、私はダメ看護師だ。

こんな事を考えた事はありませんか?

 

もし、あなたが、ステージ2や3と同じ状況にまで来ているのに、周囲の先輩や、同期、師長が、それを理解してくれていないとしたら、その職場環境は「悪い」と言わざるえません。

「辞めたい」を止められるのは、本人の強い気持ちなんかよりも、職場の相談できる雰囲気作りができていない事に問題があるケースがほとんどです。

 

 

ステージ1の段階なら、自己肯定感を高める事が大切!

まだステージ1の状態の人は、自己肯定感を高めるだけで、仕事がとても楽になります。

自己肯定感を高める事ができれば、それだけで、技術不足、知識不足からくるミスや、仕事の遅れなどによって生じる

  • できない失望感
  • 自信の喪失
  • 自己への失望

などを低減させる事ができます。

 

「責任感」を捨てる

「自分がなんとかしなければ、」とか「自分のせいで、〇〇になった。」なんて考えを捨てましょう。

責任感を捨てると聞くと、手抜きして仕事をすると勘違いしやすいのですが、けっして手抜きではありません。

責任感が強い人は、「あれもこれも自分のせい!」と考えがちです。

また、完璧主義の傾向があり、ちょっとしたミスも全て、悪い事と捉えて、それを自分の責任にしています。

後から、思い出して、「あの出来事は、私のやり方が間違っていた、、、」というような振り返りの責任感はゼロにしましょう。

  • あれは、しょうがないよね。
  • あの状況では、ベストの判断だった。
  • 悪い事が起きたけど、最悪じゃないから良かった。

既に終わった事への責任感を捨てると、気持ちはもっと楽になりますよ。

 

ステージ2〜3 なら、環境を変えてみるのも選択肢

本来であれば、ステージ2までには、周囲のフォローや教育体制、同期看護師の助け合いなどがなければいけません。

ステージ2〜3まで来ているなら、自力で復活するのはなかなか厳しく、頑張ろうと思えば思うほど、心身を追い込んでいく事になります。

もし、あなたが、かなり苦しんでいる状況なのに、周囲の先輩や同期、師長が、それを理解してくれていないなら、その職場環境は「悪い」と言わざるえません。

このまま働き続けてもいずれ心が疲弊します。

もし、ステージ2〜3 の状態なら、今の環境から変えてみるのも一つの選択肢です。

 

 

【現状】早期離職防止に向けた対策も

新人看護師の早期離職防止に向けた取り組みが、ゼロというわけではありません。

  • 医療・看護の安全に関する研修会
  • メンタルヘルスサポート
  • 看護技術研修
  • プリセプター研修

これらの新人看護師に向けた「早期離職防止に向けた対策」は、厚生労働省や看護協会が主になって取り組んでいるものです。

以前よりも新人看護師の早期退職者が減っているデータも出てきており、一定の成果は出ています。

 

しかし、このようなサポート体勢を持ってしても、辛い思いをしながら、看護師を辞めていくケースが往々にあります。

それが、冒頭で出てきた 7.9% という数字です。

 

この原因としては、本当にサポートを必要としている看護師が、公的機関などに自らSOSを出さないといけない状況が挙げられます。

自ら、サポートを要求したり、研修会に参加できない人には、何の救いにもなっていないのが現状というわけです。

 

 

新人看護師の転職サポートに力を入れている会社もある

 

厚生労働省や協会以外にも、新人看護師の離職率を下げる取り組みに奮闘している民間企業があります。

「看護師転職サイト」と呼ばれる人材会社による転職サポートです。

 

ハローワークで探す場合との違いは、担当者が病院・施設情報を熟知しているので、応募前に細かい内部情報を聞き出せるところにあります。

また、先に希望条件を伝えておけば、条件にマッチする求人を紹介してくれるメリットがあります。

 

新人に限らず、転職先に拘りがある人や、転職が不利な状況の人には転職サイトは役立ちます。

退職・転職する際の細かい手続きも教えてもらえるので、転職未経験者には心強い存在です。

 

ちなみに、看護師転職サイトのなかでも若手看護師の転職サポートに優れているのが以下の会社です。

 

※ 以下は、厚生労働省許可を受け、利用者満足度の高い転職サイトです。全て無料でサポートしてくれます。

おすすめ順 特徴
1.ナース人材バンク
ナース人材バンク
20〜30代前半の転職サポートに強い
2.マイナビ看護師
20代、新人看護師向け

 

上記の会社では、医療部門専属の専門キャリアアドバイザーが在籍しています。

「すぐに転職相談をして欲しい」

「すぐに書類応募したい」

といった要望から、給与などの雇用条件の代理交渉にも柔軟に対応してくれます。

 

注意ポイント

看護師転職サイトは、使わない方がいい?

転職サイトの担当者は、実際に転職が達成できた時にはじめて、広告主側からの報酬が発生します。つまり、転職が達成されないと利益はありません。

質の悪い転職サイトでは、収益優先となり、無理やり転職を促す傾向にあります。

このような転職サイトは、絶対に使わない方が良いです。

転職サイトを利用する場合は、厚生労働省の許可を受け、かつ利用した看護師の満足度が高い優良転職サイトから選びましょう。

また、いっきに複数登録は避けましょう。

まずは信頼できる1社からの登録がおすすめです。

 

私からの看護師1〜3年目へのアドバイス

新人看護師時代は、私もとても辛かったです。

仕事から帰ってきて一人で毎晩泣いている時期もありました。

急に休みたくなったり、休みの日の夕方はうつっぽくなって情緒不安定でした。

 

でも、あの辛い時期を乗り越えられたのは、担当した患者さんからお礼の言葉があったからだと思っています。

 

「ありがとう。」

 

この言葉はとても嬉しかったです。

 

先輩や師長、ドクターから褒められると逆にプレッシャーが強くなる事もありましが、患者さんからの「ありがとう」は、落ち込んでいる私に立ち直るエネルギーを注いでくれました。

 

辛い時も、苦しい時もありますが、感謝された時に、

「この仕事をやってて良かったな。明日も頑張ろう!」と思う事ができました。

 

若手看護師を指導する立場となった今では、あれが「小さな成功体験の繰り返し」だったのかなと思っています。

小さな成功体験を繰り返す事で少しずつ、自信がついてきます。

自信がつくと、看護技術の成長も早まります。

技術や知識よりも前に、「自信」が重要だった気がします。根拠のない自信でも良いから、自信がある・ないでは大きく変わります。

 

この自信を構築するためにも、対象とする患者層は重要です。

例えば、クリニックやリハビリ病院などの患者の重症度が低い病院の方が、医療従事者と患者さんとの関係は良好です。

 

患者さんからも、ご家族からも、「ありがとう」が出てきやすいですよね。

主治医・コメディカルを交えたカンファレンスも前向きな話が多いのが特徴ですね。

プレッシャーが少なく、精神衛生的にも優れていると思います。

逆に、忙すぎる現場・プレッシャーの強い診療科は、それだけ負担も大きいので、あまりおすすめではありません。

 

 

看護師を辞める前に、仕事場を変えてみては?

もし、今の職場が辛いなら、新しい職場を探してみるのは良い選択肢です。

 

すでに、心身が危機的状況(「ステージ2〜3」の状態)にあるのに、何とか一人で耐えようとした結果、

心身が崩壊して、看護師を辞めるより、

もっと働きやすいプレッシャーの少ない職場で看護師を気持ち良く続ける

この方が良い選択だと思います。

 

今は、 ナース人材バンク などの新人看護師の転職サポートに力を入れている会社もあるので、「1〜3年目は転職できない」なんて考えないで大丈夫です。

 

早期離職防止に向けたサポートを受けながら、辛い新人時代を乗り越えられる方は、その選択肢が良いと思います。

 

しかし、サポートを受ける以前に、そもそも職場環境が劣悪であれば、絶対に解決はしません。

  • 人手不足のせいで仕事がきつい
  • 残業が多い
  • 休憩時間がとれない
  • 忙しさに対して賃金が安い(サービス残業)
  • 希望通りの休暇が取れない
  • 職場環境に馴染めない
  • 人間関係のストレスが強い

 

などの「職場環境が原因」という場合は、仕事場を変える事の方が、悩み解決に直結します。

 

辛い思いをしながら働くより、心身に無理がないように看護師を長く継続して欲しいと思います。

どの診療科が合っているのか分からないという人は、リハビリ病院やクリニックなども転職先の選択肢に入れると良いと思います。

 

 

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2021/05/23

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